あらすじ
武家の妻の鏡、会津の華、白百合のごとく美貌と称された母は、いつどんなときも幸子の誇りだった。白装束をまとった母とともに、に父や先祖の魂のもとへ行けると信じて疑わなかった。しかし母は一通の文を受け取り、差出人の名前を見た瞬間はじめて、この世に生きた目を、会津の女ではなくひとりの人間としての目を、幸子に向けた。初めて、幸子を「見た」ー。
江戸城会津上屋敷内で生まれ育った青垣鏡子は外を知らない。知らなくてもかまわない。何をすべきかはすべて両親に従えば良い。そう教育されたのではなく、そう「生まれついた」のだからしょうがない。熱を持って夢を語る兄や友を愛しくかんじても、自分はそのようにはなれない。ならない自分のまま生きていくことを受け入れていたはずなのに、あの日鏡子は初めて自分の内なる化け物に出会った。そして同時に同じ化け物として生きる男とも出会った。
男の名は薩摩藩上下士、岡本伊織。優れた頭脳を持ち江戸の昌平坂学問所の書生としてやってきた。彼もまた、己のこころの行き場がないことを早々に自覚し、生きてきた。
ある日江戸を大規模な地震が襲う。母の足は圧し挟まれ、隣家は潰れ、火が燃え上がり、親を亡くした子や怪我人が泣き叫ぶ。鏡子の足と心は叫びの渦へ向かう。心が燃える。これが、自分の求めていたものだった。魔に魅入られた幼い鏡子を見た伊織はこの少女は自分と同じ化け物であると直感する。美しく惨い化け物、わたしたちは運命だ。
会津と薩摩、ともに生きられない未来があることをこの瞬間のふたりはまだ知らない。
感想(ネタばれあり)
歴史小説だからネタばれもなにもないかなーと思ったんだけど少しだけ気を付けて書きますね。
ちょっとマイナスなところからいくと、まず第一に、幕末…歴史を知らない人には難しいだろうなと思った。私歴史好きだけど幕末そんな詳しくないのでウィキりながら読んだ。幕末知らんとも「攘夷」の意味だけは知らないと進まない。あと薩摩のお国言葉が「っ」ていうのが脳内に入れるの難しかった。美しいんだけどね。
わたし世界大戦時代のものをよく読むんだけど、つくづく戦争って起こる意味がわかんないなと思ってる。起こすほうも受けるほうもとにかく「???そんな理由??ばかじゃないの!?」って。読むけど、そういう人が人を傷つける背景が本当に理解できなくて。この作品も、国と国との理由ですら意味わかんないのに同じ日本において、しかもこんなちっさい島国の中で言葉も通じる日本人同士が起こす戦争なんて余計に意味わかんねーよって思ってた。でも読んでたら、言葉も文化も違う国が起こした戦争より、同じ日本人同士で起こした戦争の意味のほうが、理解できないけど納得してしまった。ああ、バカだなあ、そんなことに命なんてかけないでよ。周りも納得しないでよ。それが当たり前みたいに受け入れないでよ。って思うけど、最後は「そっか、そう思ったんだね」って心になってしまった。
総じて。わたし須賀さんの作品大好きで、それこそこれからまた何作か読み直そうと思ってるし将来の買うリストに何作もあるんだけど、うーん、この作品はたぶんもう手にとることはないかもなという感じです。
これに限ったわけじゃないけど、いつも思うんだけど「美形」っていう設定にすりゃいいってわけじゃないぞ??とね、思ったりするです。まあ美形は食指が動くのは否めませんが。幕末勉強しなおしたいです。高校生以来なんかあんまり好きな時代じゃなくなったんだよな。なんでだろ。
3冊分書いてこんなグダグダな感想ブログでいいのかなって気もしてるんだけど改善すればいいのでね。とりあえず続けていきます~!!
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